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第8回 初心と書いて「カクニン」と読む
最初は恐る恐るやっていた運転がだんだんと大胆に横着になっていく。
周囲の人も慣れてきたとよい方に解釈して目を離しがちになっていく。
これは運転時のみに該当する傾向ではなく、例えばオフィスワークにおいても送信したメールで誤字が増えてきたり。
部下が入社時には親身に面倒をみていた上司が、部下に無機質な指示を出しっ放しで進捗(しんちょく)の確認をしなくなったり。
取引先が少なかったころには顧客の要望に耳を傾けていた営業マンが、業績が向上して安定すると顧客の意思確認を怠るようになったり。
最初は緊張していた出張も慣れてくると油断をして電車を乗り過ごしたり、下車時の確認不足で車内に忘れ物をしたり。
料理に携わる人なら、味見という確認の判断基準があいまいになることも有るかもしれません。
それは慣れにより怖さを忘れてしまうことと、自分なりの手順を決めてしまうこと。
慣れにより自らの置かれた環境が当たり前と思い、感謝や謙虚を忘れてしまうこと。
初心が自信を超えて慢心に変わると、行動が大胆になり確認が減少する。
基本の考え方や決められた手順を守ることが面倒になり横着な行動になる。
感謝や謙虚を忘れてしまうと丁寧さが失われて対応が雑になる。
ここで、初めて自動車を運転した時のご自身の状況を一緒に思い出してみましょう。
- 初めてアクセルを踏んだ時の感覚
- 初めて公道を走行した時の感覚
- 初めて車庫入れをした時の感覚
- 初めて事故をしてしまった時の感覚
皆様はいかがでしたか?
現在と比較して明らかに違うのは「確認」ではないでしょうか?
何度も下車して目視確認をしたり。
周囲の誰(だれ)かに確認をお願いしたり。
その当時には自らの運転で無事に到着できたことへの嬉(うれ)しさも有ったのでは?
運転において初心の気持ちを行動に表すと「確認」だと思います。
だから初心と書いて「カクニン」と読む。
初心をたくさん思い出すために確認も全力で取り組むこと。
ひとりでは恥ずかしいことも、全員で実践すればかっこいい。
今夏の高校野球で試合後に全員が全力で校歌を歌うチームに感動しました。
ホームベース前に整列した笑顔の選手全員が、えび反(そ)り状態になるほどの大声で校歌を歌う姿はかっこいい。
だから指差呼称確認でも全員が全力で実践すればかっこいい。
安全を全員が全力でいつでもどこでも実践すればかっこいい。
私自身への戒めを含めて(笑)最後にもう一度確認を。
初心と書いて「カクニン」と読む。
初心忘るべからず。
確認忘るべからず。
ありがとうございました。
次回は10月4日(金)更新の予定です。
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