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第30回 バック事故はゼロにできる!
「なぜ交通事故が発生するのか?」を考えてみましょう。
動いている相手(車・バイク・歩行者など)が関係する追突事故や交差点事故の場合、たとえば正面衝突になりそうな場面においても、両運転者が回避すれば事故にはなりにくいはず。
交差点で巻き込み事故になりそうな場面でも、歩行者が停まってくれれば交通事故は未然に防止できるはず。
このように、どちらかが回避すれば、交通事故は防げることも多い。
どちらかが回避すれば、交通事故の被害を小さくできることが多い。
言い換えると、どちらも回避しなければ交通事故は防ぎにくい・・・。
そこで「なぜバック事故が発生するのか?」を考えてみましょう。
特にトラックドライバーのバック事故は、構内で動かない(動いていない)ものに接触してしまうことが多い。
・壁や庇(ひさし)や屋根などの建築物
・駐車車両や製品など置かれている物
停留所で左に寄せるバスや、構内でも旋回できるタクシーと違い、トラックドライバーは積み込み先や配送先において、高い確率でバックギアを使用しています。
運輸業の中で、バック走行の回数や時間が圧倒的に長いのがトラックドライバーだと言えます。
しかし、建築物や構内に置かれているものには、意思も行動もないので回避してくれません。
だからバック事故を回避できるのはドライバーのみ。
バック事故を起こす原因は全てドライバーにあると言えます。
言い換えると、ドライバーがバック事故を回避する行動をとれば、バック事故は防ぐことができるはず。
バック事故の防止は道路交通法にも定められていないような安全確認の方法を、何度も実践することで成立します。
バック時には多くの安全確認の方法があります。
・バックモニターを見る
・ミラーを見る
・窓を開ける
・両窓を開ける
・窓を開けて顔を出す
・ドアを開けて体を出す
・降りる
ちなみに「降りてみる」のと「降りて見る」のは違います。
それは「ただ降りるだけ」の前者と「降りて目視確認をする」の後者の違い。
どこをどのように何回確認するのかが重要です。
どのような状況でもバック事故を回避できるような安全確認の方法を、社内ルールにしましょう。
「管理者は交通事故が起こった時にだけ怒るのではなく」
「ドライバーが社内ルールを守らなかった時に怒るべき」
交通事故が起こってからではなく、社内ルールを守っていない時点で指導対象とすることで、交通事故を防止できます。
社内ルールを他社よりも厳しく設定することや、安全を細かく指導することは、ドライバーの無事故を願う愛情表現のひとつ。
安全を管理することとは、発生した交通事故の事後処理をするのではなく、事前に安全を教育することです。
その成果は、必ず数値で表れます。
その成果は、真っ先にバック事故の減少として表れます。
だから「バック事故はゼロにできる!」
実はトラックドライバー時代にバック事故の経験がある私。
自らの失敗談を踏まえつつ、「二度とバック事故を起こすまい」と考えた末の安全対策ですから、間違いございません。
ありがとうございました。
次回は8月8日(金)更新の予定です。
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