ITとビジネスの専門家によるコラム。経営、業種・業界、さまざまな切り口で、現場に生きる情報をお届けします。
第38回 共に学ぶのも共学
交通事故に遭わない運転方法で重要なのは「予測」と「確認」だと思います。
「予測」とは経験。
主に事故体験等の失敗経験から高まります。
「確認」とは技術。
主に安全教育や安全ルールから高まります。
誰しもが事故を体験した直後は安全な運転をするもの。
自らの体験はもちろん、他者の事故を見ただけでも安全な運転になるもの。
対向車線で発生した交通事故による渋滞時、事故現場を通過しながら惨状を見れば、アクセルを踏む力が弱くなる現象と同じです。
例えば、ヒヤリハット報告が多い人は予測をすることで「危ないものが見えている人」
ヒヤリハット報告が少ない人は「安全な運転をしている人」もしくは「危ないものに気づいていない危険な人」かもしれません。
どちらにしても「ヒヤリハット報告が多い人は安全な人」だと言えます。
それを見分けることができるのが管理者であり、管理者としての器量の表われ。
管理者が見分け方を間違えたり、管理者の処置が遅れたりした場合は重大事故にもつながりかねません。
その場合、管理者ひいては会社のミスにより発生した事故とも言えます。
管理者の人数は、社員数や保有台数にも比例して事業規模が決まります。
管理者の質は、安全はもちろん営業面を含めた数値に表われます。
特に管理者を多く配置できない中小規模の運送会社では、管理者の質が安全の成績や営業の業績を大きく左右します。
交通事故を起こさないのはドライバーの責任。
交通事故を防止するのは管理者の責任。
「プロの管理者を育成したい」とのニーズの高まりから、各地で運送会社の管理者勉強会を担当しています。
管理者を鍛えることで、社内で定量的な安全教育等を実施して、あらゆる事故を防止することが目的。
ドライバーに全員集まってもらうよりも、管理者からひとりひとりに発信をするスタイル。
ドライバーが「できる」レベルになるよりも、管理者が「伝えられる」レベルになることを優先するスタイル。
また、外部講師である私たちがドライバーへの直接指導を優先することは、管理者をないがしろにしているとも思えて、微妙な心境になることも…。
運送会社の管理者に期待されている大きな役割はドライバーへの教育です。
ドライバー教育を外部に委託するのではなく、ドライバーを教育できる人を外部で育てること。
管理者勉強会の開催方法は1社単独型と、各社の管理者が参加する合同型があります。
協同組合や地区や支部単位で合同開催することで、参加各社の費用負担を按分できます。
共同購入の対象はモノだけでなく、教育も共同で仕入れることができます。
また少人数で継続開催の場合には共に学ぶことで友になり、情報交換や切磋琢磨できる関係作りも可能です。
ライバルや目標とする友の存在は、潜在能力を引き出します。
共同で教育することで“共育”になります。
会社が違う管理者同士が共に学ぶことで“共学”になります。
勉強会には参加して頂くことが目的ではなく、勉強会の内容を各社で実践してドライバーの運転行動が進化することが目的。
実践すれば必ず壁にぶち当たることでしょう。
その壁は、管理者にとっては悩みのタネに。
その悩みこそが成長の機会であり、喜びのタネというもの。
仕事を通じて成長できる仕事が、仕事というもの。
勉強会では、交通事故防止には予測の他に確認が大事と伝えています。
同様に、社内で何かを伝える時にも個別の確認が重要と伝えています。
ありがとうございました。
次回は12月12日(金)を予定しております。
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