ITとビジネスの専門家によるコラム。経営、業種・業界、さまざまな切り口で、現場に生きる情報をお届けします。
第38回 箱根駅伝優勝・青山学院大学の組織マネジメントに学ぶ
皆さん、こんにちは!
2015年最初のコラムになりますが、本年もよろしくお願い致します。
年明けから、猛烈な寒気による大雪被害や、フランスでの新聞社襲撃事件を含めた宗教絡みのテロといった防ぎようもない出来事が続いているような気がします。
それでも、私たちは、今年も「なりたい姿・目指す姿」に向けて、自分たちに出来ることに集中して日々を送るしかありませんね。
そういう意味で、今年も、「イキイキした組織づくり・自律的従業員育成」に向けて、どうすれば良いのかを考えていきたいと思います。
2015年最初でもありますので、改めて大切なキーワードを整理したいと思います。
■青山学院大学の箱根駅伝優勝の快挙
毎年恒例の年明けのイベント・箱根駅伝は、本命の駒沢大・東洋大といった強豪を押さえて伏兵・青山学院大学の優勝となりました。
その青山学院大学・陸上競技部の監督・原晋(すすむ)氏の組織マネジメントが注目を浴びているのはご存じの方も多いと思います。
この原監督の青山学院大学・陸上競技部の組織マネジメントは、まさにこのコラムのテーマである「イキイキした組織づくり・自律的従業員育成」のキーワードに溢れた結集のように感じています。
詳細をご存知でない方は下記東洋経済オンラインでの記事を参照下さい。
青学・原監督に学ぶ「10年で超一流になる法」(東洋経済ONLINE Webサイト)
■「イキイキ働く企業風土・自律的従業員育成のあり方」のキーワード
皆さんは、この青山学院大学の事例からどのようなキーワードを紐解かれるでしょうか。
・サラリーマン経験の監督
・「ワクワク大作戦」というスローガン
・「厳しい・辛い」のイメージの払拭
・組織に見合う人材の採用
・「中央集権型・管理型」との対極にある自立型育成
・「5年で出場…10年で優勝争い」という明確な長期的ビジョン
・原監督ご自身の退路を絶った覚悟…
上記のそれぞれが「組織変革・活性化」のキーワードとして言われる「ヨソモノ・ワカモノ・バカモノ」「ビジョンへの共感」や「フロー概念」といった理論にも見事に合致しているのではないでしょうか。
勿論、皆さん夫々の方が色々な視点でのキーワードを感じられたかも知れませんが、恐らく何れもロジカルに説明が出来るキーワードなのではないかと思います。
こうしたテーマは、どれも重要ですし、必要な切り口ばかりだと思いますが、個人的に一番重要なことは、「ロジックが繋がっていること」即ち一貫性と「諦めずに継続してきた」という事実のような気がします。
■一貫性と整合性、そして継続
上述のキーワードは夫々重要なわけですが、個々のテーマがバラバラに存在するの
ではなく、前述コラムにも記載がありますが
「創りたい組織に見合う人材を集める」「自立を基にした規律からなる育成」「具体的な数字を挙げて、やりきる宣言」の「3点セット」
が一貫して、夫々が整合性のある点が重要なのではないでしょうか。
どれかだけに偏った思考ではないだけでなく、全体最適という意味での一貫性と整合性が取れているという点は、実践においてはなかなか簡単ではないように思います。
そして、もう一つは、即効的な効果が出なくても地道に継続してきたという点が挙げられるのではないでしょうか。
この原監督の場合は、箱根駅伝優勝という大きな成果に辿りつくのに11年という歳月を費やしています。この「長い時間軸における継続」ということは、現在のビジネスシーンにおいてはなかなか猶予を与えられない、とのご意見もあろうかと思います。
そういう意味では、その時間を許容してくれたのであろう関係者の度量の大きさに感心するのと同時に、恐らく原監督はそのステップである「5年後 出場・7年後シード権獲得」というマイルストーンを明確にして、それをクリアしていくことで長期にわたる信任を得て来られたのではないかと思います。
■2015年のはじめに当たって・・・
やはりこうした明確な実現したいゴール設計とそのマイルストーンを立てて達成していくことが、周囲に納得してもらう一つの重要な要件ではないでしょうか。
「イキイキした組織づくり・自律的従業員育成」を目指して日々色々なお取組みをしておられることと思いますが、目に見えにくい指標化しづらいテーマだからこそ、長期的な継続を見据えて「いつ迄に、こういう状態にする」というゴール設計をしてみてはいかがでしょうか。
本年もよろしくお願いいたします。
次回は2月25日(水)更新予定です。
前の記事を読む
次の記事を読む