第10回 人も電話もマナーモード

複数の企業で月間50回近くの研修を担当していていると、“各社の社風”が一瞬で見えることがあります。

それは研修開始時の場面。

そこに企業の姿勢が凝縮されているかのごとく、顕著に見えてくる違いを感じます。

今回のコラムは研修講師の“ひとりごと”としてお付き合いください。

多くの企業では「携帯電話はマナーモードにするか電源をお切りください」とのアナウンスから開始。

これは研修前によく発せられる確認事項ですが、私はこう考えています。

「マナーモードにするのは携帯電話だけではない」

「身だしなみや座り方等の聴く姿勢を含めたマナー」を練習して高める機会。

たとえば「着帽したままの人・頭や首にタオルを掛けている人・ふんぞり返って座り腕や足を組む人」のマナーはいかがなものか?

その人を注意しない管理者はいかがなものか?

その人を注意するためのルールがない企業はいかがなものか?

運送会社でドライバーを対象とした研修を担当することが多いのですが、安全運転などの専門的な分野を指導するのと同様もしくはそれ以上に大切なことがあります。

それはドライバーである前に会社員であるということ。

そして会社員である前に社会人です。

社会人である前に「人としてどうなのかな?」と思うシーンに遭遇することも。

良い企業の共通点は、研修開始時と終了時に起立して一礼をする行動。

起立時には全員が椅子を机の中へ入れる習慣。

途中休憩時を含めて「よろしくお願いします」「ありがとうございました」と一礼。

基本動作として全員が身に付けておられます。

その反面、良くない企業では共通の基本動作や姿勢に一体感が見えない。

研修前にマナーを促すアナウンスもなく。

案の定、研修中に着信音が鳴る。

時には席も立たずにそのまま通話を始める人も。

そういう企業の共通点は、研修の開始時刻に参集されず。

遅れていることにも悪びれず。

ここまでいけば個人の習慣を超越して社風に問題が有るのかも・・・。

最後に。

もうひとつ見えてくることがありました。

研修に臨む姿勢がその企業の業績(売上・利益・事故件数・事故金額)に比例している点。

どうやら社員教育の成果が企業の業績に直結しているようです。

社内は練習の場。

社内でできないことは出先でもできないと思います。

社内は練習の場。

だから少しぐらい極端なルールでちょうど良いとも思います。

そのルールを全員が全力で実践すれば格好いい!

社内は課題に挑戦して個々の能力を高める練習の場。

「社内で何をどのレベルを目指して練習したのか」が、社外で披露されて評価されているようです。

ありがとうございました。

次回は11月1日(金)更新の予定です。

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この記事の著者

株式会社プロデキューブ 代表取締役

高柳 勝二

運送会社の管理者育成と安全教育をサポートしている株式会社プロデキューブの代表取締役。
前職は中堅運送会社にドライバーとして入社し18年間勤務。
安全管理・品質管理・開発営業などの実務経験が豊富な物流インストラクター。
現在ではドライバーの交通事故防止による利益確保と輸送品質の向上による単価の向上で得た原資によって、働き方改革を実現するまでを事業領域として、現場を親身にサポートしている。
中小運送会社からの依頼が多い“提案型”研修は、受講されたドライバーや管理者からの「おもしろい・眠くならない・わかりやすい」との評判が口コミで広がり、各社内で開催される社員研修の外部講師として全国45都道府県で講演。
また、全日本トラック協会主催の「全国トラック運送事業者大会」における交通安全対策推進の分科会で、7年連続コーディネータを担当(2013年札幌開催:2014年福岡開催:2015年金沢開催:2016年度米子開催:2017年仙台開催:2018年高松開催:2019年千葉開催)。
2013年度:全日本トラック協会「トラック運送事業における運行管理者のあり方研究会」委員
2015年度:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会ワーキンググループ」委員
2016年度:「貸切バス運転者に対して行う指導及び監督の改正検討ワーキンググループ」委員
2016年度より現在:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会」委員
2017年度より現在:熊本県トラック協会 専門アドバイザー(企業経営・労務管理)
各都道府県のトラック協会や青年部会、支部や協同組合単位での各研修会で講演多数。
プロデキューブ
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