第53回 変わらないために変えるもの

百年以上も続く老舗の飲食店や、昔から子ども世代に愛され続けてきた馴染みのお菓子。

なぜ長きに亘り、支持をされ続けているでしょうか?

一見、その理由は味が変わっていないからとも思えますが……。

おそらく変わらないのは味ではなく。

変わらないのはお客様からの高い評価と、その評価を求めて工夫と努力を続ける企業姿勢なのでは。

たとえ時代が変わっても、良い評価を得るために。

時代により変化するお客様の嗜好に関心を持ち、研鑽を重ねつつ、お客様から気づかれないように味を変えているのでは。

食べ物であれば原料や調理方法や調理器具や提供する器も変わっているはずです。

お菓子であればパッケージのデザインなども変わっているはずです。

アニメ番組におけるキャラクターの描き方や、背景画が微妙に変わってきているのも同様。

視聴者が昔の番組と比較をしないと気づかれないように、いつの間にか時代に合わせて進化していることが、長寿番組の共通点。

運送業界では変えてはならないものがあります。

それは安全について。

無事故を願う目標と、無事故を達成する努力を続けるのは、昔から不変のもの。

その運送業界でも変えるべきものがあります。

それは特に品質について。

以前はクレームにならなかったことが、今では“非常識”とまで酷評されることもあります。

品質への期待の高まりを荷主からの押し付けと悲観するのではなく、運送業界への期待の表れであり、現代の世間からのニーズだと捉えて、前向きに取り組みましょう。

【第1段階】他社と同じ運賃なら一番に選ばれる運送会社になるために。

【第2段階】他社より運賃が高くても、選ばれる運送会社になるために。

安全への評価は個人戦ですが、品質への評価は団体戦です。

品質への取り組みとは、ドライバーの仕事と生活を守るための取り組み。

現代のニーズから生まれた品質のルールを作り、全員で守りましょう。

お客様から見えるのは、ドライバーによる道の上の安全よりも、ドライバーが地に足をつけた状態での品質です。

お客様にも安全が見える時の多くは、残念ながら事故が発生した時に露出されるもの。

安全はお客様から見れば「当たり前の評価」であることが多い。

なぜなら安全ではない運送会社とは、仕事の評価や依頼先の選考にすら値せず。

全てはお客様からの評価(感動・満足・普通)に関心を持ち、こちらが積極的に変わることです。

ちなみに感動や満足ではない“普通”との評価は、“不満”と同等の評価であると認識しましょう。

それは普通とは、努力しないといずれ不満になるということです。

変化とは進化への手段。

維持とは進化した結果。

進化せず維持のみでは衰退するのみ。

意地は維持をするためではなく、進化するために活用しましょう。

ありがとうございました。

次回は8月7日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社プロデキューブ 代表取締役

高柳 勝二

運送会社の管理者育成と安全教育をサポートしている株式会社プロデキューブの代表取締役。
前職は中堅運送会社にドライバーとして入社し18年間勤務。
安全管理・品質管理・開発営業などの実務経験が豊富な物流インストラクター。
現在ではドライバーの交通事故防止による利益確保と輸送品質の向上による単価の向上で得た原資によって、働き方改革を実現するまでを事業領域として、現場を親身にサポートしている。
中小運送会社からの依頼が多い“提案型”研修は、受講されたドライバーや管理者からの「おもしろい・眠くならない・わかりやすい」との評判が口コミで広がり、各社内で開催される社員研修の外部講師として全国45都道府県で講演。
また、全日本トラック協会主催の「全国トラック運送事業者大会」における交通安全対策推進の分科会で、7年連続コーディネータを担当(2013年札幌開催:2014年福岡開催:2015年金沢開催:2016年度米子開催:2017年仙台開催:2018年高松開催:2019年千葉開催)。
2013年度:全日本トラック協会「トラック運送事業における運行管理者のあり方研究会」委員
2015年度:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会ワーキンググループ」委員
2016年度:「貸切バス運転者に対して行う指導及び監督の改正検討ワーキンググループ」委員
2016年度より現在:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会」委員
2017年度より現在:熊本県トラック協会 専門アドバイザー(企業経営・労務管理)
各都道府県のトラック協会や青年部会、支部や協同組合単位での各研修会で講演多数。
プロデキューブ
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