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第52回 運送会社の電話応対
運送会社に電話をした際に「ありがとうございます!○○運送の○○です!」などと明るく出てくださると、活気と丁寧さを感じて嬉しくなります。
しかし「株式会社プロデキューブの高柳と申します」と告げた途端に、「声のトーンが極端に下がり言葉のマナーが悪くなる人」がいるのも残念な事実。
ひるまずに続けて「○○社長様はいらっしゃいますか?」と尋ねると、即答で「いませんけど!」と急に怒鳴り声になる人も。
確かに「プロデキューブ」とは意味の分からない社名であり、「悪徳な勧誘業者」と勘違いされることも理解できないことはないのですが……。
創業以来、営業活動らしいことを行ったことがない当社。
ですから、営業電話を掛けることも一切なく。
こちらから電話を掛ける時には、例えば「社員教育について詳しく話を聞きたい。明日は○○頃に在社しているので電話をください。」と言われて掛けているのに。
その場合は仕方なく、このように対応します。
「昨夜に○○の会合で御社の社長様とお会いして、『社員教育について詳しい話を聞きたいので明朝9時に会社へ電話をください』と言われましたので、ご指定の時間に電話をしているのですが…そうですか…社長様はいらっしゃいませんか…それでは社長様にプロデキューブの高柳から9時に電話が有ったことをお伝えください。」と言って、こちらから電話を切ろうとすると……。
「今、席に戻りました。代わりますので少々お待ちください!」と、手のひらを返した対応。
私、心の中で「あなた。居留守を決め込むには早過ぎましたね(笑)」
ご自身が知らない社名を名乗られても、せめて「お世話になります」と「どう言ったご用件でしょうか」の二言だけは、忘れてほしくないものです。
なぜなら、ホームページを公開されている運送会社は何が目的なのでしょうか。
その多くは、未取引の不特定多数の企業からの「仕事」を待っているのでは。
ただし、運送会社に対してホームページを見て入ってくる電話は、「仕事」ではなく「問い合わせ」。
そして、内勤者の対応を相手が見極めて満足されたら信用に変わり、「問い合わせ」が「仕事」に変わることをお忘れなく。
運送業をサービス業と位置付けて、ドライバーの第一印象を高めるために身だしなみや挨拶の向上に取り組むならば、運送会社にとって真の第一印象とは内勤者の電話やメールの応対レベル。
内勤者の電話応対を疎かにすると、新しい仕事が舞い込むチャンスが減ってしまいます。
また、会社ごとや事業所ごとの風土的に「電話応対の品と質」が存在するようです。
それは、飲食店の店員さんが言うところの「いらっしゃいませ~」や「ありがとうございました~」で、語尾のイントネーション等が店内の店員間で“伝染”しているのと同様に。
コンビニエンスストアで学生アルバイトの店員さんが、笑顔で「かしこまりました!」と言ってくれるのは、教育による“伝統”なのでしょう。
そして、電話やメールの応対が良い人とは会ってみたくなります。
それ以上に、電話やメールの応対が良い人とは意思疎通がしやすく、会わなくても仕事を共に進めることもできます。
同様に、こちらが発注者や購入者としてメーカーや販売会社のコールセンター等に電話をする際、横柄なモノの言い方をすることも自らの品が下がります。
会社の備品等に関する問い合わせで「会社名」を名乗ったのなら、要注意。
会社の品が下がり、売上が下がるかもしれません。
なぜなら、電話の向こう側で謙虚に対応されている人のご身内やお知り合いに、貴社のお客様がいないとは限りませんから。
ありがとうございました。
次回は7月24日(金)の更新予定です。
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