ITとビジネスの専門家によるコラム。経営、業種・業界、さまざまな切り口で、現場に生きる情報をお届けします。
第51回 道路交通法+社内ルール=安全
トラックを運転時に多く発生するバック事故。
トラックは車長が長いゆえ、積み込み先や配送先の構内で転回できないため、バック走行を余儀なくされることも、バック事故が多い要因のひとつ。
バック事故を防止するために定められたバック走行時に関する交通ルールは「シートベルトを外してもよい」くらいだと記憶しています。
ハザードを点滅させることもなく、窓を閉めたまま、サイドミラーだけで後方確認をする危険なバック走行をしていても、交通事故を起こさなければ、警察のお世話になることはございません。
もうひとつ。
交通事故防止に重要な安全行動として挙げられる安全確認。
安全確認の方法や回数に関する交通ルールも無いように思います。
ですから、各人が“自分ルール”を運用されているケースが多い。
だから「事故をしない人はしない」し、「事故を繰り返す人は特定される」との現象が絶えないのでしょう。
交通事故を起こさないための“自分ルール”のデメリットは、「実行していなくても誰からも注意を受けることがない点」
ちなみに、実行しようとする時には、心身ともに安全な状態だと言えます。
心身が「焦り・イライラ・疲れ」等の時には実行しようとしないもの。
自身が“大丈夫な状態ではない時”に「今日は大丈夫だから」「ここは大丈夫だから」との“悪い自分流の解釈”により、安全確認等の手順を省くもの。
そこで、自分ルール以上の“社内ルール”の制定をお勧めしています。
交通事故を起こして警察のお世話になる前に。
交通事故を起こさないための社内ルールを制定して、交通事故が起こる前に指導をする運用方法です。
それは「交通事故を起こしていないのがプロドライバーではなく、交通事故を起こさないためにルールを守り確認を行うのがプロドライバー。」との考え方から。
添乗指導時には、社内ルールの履行状況を車内で確認します。
まずは社内ルールを守る(理解して実践している)こと。
次に社内ルールの精度を上げる(習慣になり、いつでもどこでもできる)こと。
「これでもか!」と言ってしまうほどの、安全確認。
「こだわっているね!」と言われるほどの、安全確認。
ドライバー研修時には、「道路交通法を守る」との“義務教育”を超えた“実践教育”として、安全確認のやり方を確認。
運行中に安全確認をしようとすれば、速度を落とします。
安全確認しようとすれば、停まるべきところで停まります。
停止線とは「停まる場所」ではなく「停まって確認すべき危険な場所」と認識すること。
安全確認を実践しているドライバーは、速度を抑えて正しく停まることができます。
逆に、安全確認の手順を省いているドライバーは走行速度が速い傾向で、「速い・止まらない・確認しない」との三悪状態に。
まさに「安全確認に勝る安全対策は無し」
皆様の社内において、道路交通法では対象外の項目にも、社内ルールを制定しましょう。
それがドライバーの安全を願う愛情表現です。
「道路交通法+社内ルール」でさらに安全になれます。
事故や違反をする前に指導をして、ドライバーの身体と免許証を守りましょう。
ありがとうございました。
次回は7月10日(金)の更新予定です。
前の記事を読む
次の記事を読む