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第23回 研修講師のひとりごと
おかげさまで、当社は2013年度も全国で489回の研修を担当させて頂きました。
研修に臨まれる皆様のご姿勢により創られる会場の雰囲気は、各社様で特徴があります。
その特徴を特長に変えるべく、担当講師は適宜対応しながら研修効果を高めるようにしています。
今回のコラムはそんな研修講師の“ひとりごと”
まずは、ある社長様とドライバー研修の打ち合わせ時の会話から。
「あなたの研修では受講者で寝る人がいないと聞くが本当かね?」
「ウチの場合は勤務時間が長い長距離ドライバーが対象なのでどうかな?」
社長様が続けてこう仰いました。
「皆は疲れているから1割の人が寝てしまっても悪く思わないでください」
「もしも2割の人が寝てしまったら、社長である私の責任ですから」
「でも3割の人が寝てしまったら、講師であるあなたの責任ですよ」
いつまでも忘れてはならない言葉のひとつです。
研修会場に到着すれば早々に機器のセットとテストを終えて、受講される皆様の身だしなみに目を向けて挨拶に耳を傾けています。
あるドライバーが着帽(制帽ではない帽子)のまま着席したとしましょう。
同様に、あるドライバーが首にタオルを巻いたまま着席したとしましょう。
私たちはその時の周囲の対応に着目しています。
悪い運送会社は誰も注意をしないので、仕方なく壇上から講師である私たちが指摘します。
普通の運送会社は上司(社長様や管理者様)が駆け寄って指導します。
良い運送会社では周囲に着席している他のドライバーが、そっと教えてあげています。
草履でご入場や私服でご参加の場合は、その場での修正が不可能なので論外ですが・・・。
「品質は団体戦」です。
「自分さえ間違っていなければ良い」との考えでは、団体戦では勝ち抜けません。
ですから品質への取り組みでは「自分ができている」以上に「誰かに教えられるレベル」を求めています。
研修時の着席状況にも、その運送会社の風土が顕著に現れます。
悪い運送会社は前席が空席である事が多いので、講師が前に出て研修をします。
普通の運送会社は上司(社長様や管理者様)が、前席から詰めて着席するように誘導されます。
良い運送会社では誰の指示でもなく到着順に前席から埋まり、着席されたら筆記用具を準備して開始時刻をお待ちになっています。
また、全員が時間前に揃って研修を予定時間より早く始められる運送会社は、全体的にドライバーのマナーが良く交通事故が少ない事が多い。
最後は安全教育を含むドライバー育成(=社員育成)に熱心な運送会社を、一瞬で見分ける方法。
悪い運送会社はドライバー研修を講師に一任の“丸投げ状態”で、上司(社長様や管理者様)は在社していても参加されません。
普通の運送会社は上司(社長様や管理者様)が会場で後方からドライバーの聞く姿勢を監視しています。
良い運送会社ではドライバー研修に必ず上司(社長様や管理者様)が参加されて、前列で誰よりも熱心にメモを取っておられます。
そのような上司(社長様や管理者様)の背中を、部下であるドライバーが見て真似ているかのごとく。
まさに背中で率先垂範!
もしも研修中に上司(社長様や管理者様)が舟を漕いでいるシーンが有るとすれば。
言うまでもなく。
それは講師の責任では無いと思います。
ありがとうございました。
次回は5月2日(金)更新の予定です。
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