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第32回 見た目の威力
ドライバーに「好きなお客様は?」と聞いてみる。
続いて「苦手なタイプのお客様は?」と聞いてみる。
苦手なお客様にも対応し、その場をうまく納めるのがプロのドライバーだと説明しています。
どのような積載物にも対応できるだけでなく、どのようなタイプの人にも対応できるのがプロのドライバー。
そのための必須条件として、身だしなみや挨拶などの第一印象を高めることだと提案しています。
身だしなみや挨拶が、さほど問われない職業もあります。
例えば芸術家や料理人など、仕事(技術)の成果物がカタチとして見える職業。
その店でしか味わえないほどの美味しいラーメン屋さんなら、少々サービスが悪くても、その味を求めて長い行列ができることもあるようです。
同様に、頑固で無愛想なオヤジが作るラーメンが美味しくなければお客様は入りません。
飲食業とは違ってカタチに見える(残る)成果物がなく、その行動自体が成果物になるのが運送業でありサービス業。
さらには誰もが面倒に思うことを、お客様の目の前で代行することがサービス業。
サービスを提供する人と受ける人が、その場にいなければ成立しないことが特徴であり、生産と消費が同時に行われるために在庫が持てないのがサービス業。
小売業である飲食業において、お客様から一切見えないように仕切られた厨房内で仕事をしている料理人には、身だしなみや挨拶は求められないかもしれません。
それでも、お客様の注文を聞いたり、配膳したり、お金を受け取ったりと接客をしている人は、身だしなみや態度などの見た目はもちろん、言葉遣いが悪ければクレームの原因になります。
私たちは身だしなみについて、こう考えています。
制服を着用時に求められる身だしなみに個性は必要ないのでは・・・。
おしゃれや個性は私服で楽しめば良いのでは・・・。
身だしなみの良し悪しは相手が決めることです。
「シャツの裾を出していても誰からもクレームを言われたことがない」とのご意見には、「クレームとは期待されている証拠」と、期待以上の愛情を持ちつつ、語気を強めて答えることもあります。
期待されてクレームをもらうことよりも、感動されて「ありがとう」を頂けるドライバーになってほしい!
私たちはそのようなドライバー像を目指して、各地の運送会社を巡る毎日です。
ありがとうございました。
次回は9月5日(金)更新の予定です。
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