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第33回 別れ際によく見える品質
タクシーに乗車した際に見えるのは、タクシードライバーの安全とタクシー会社の品質。
走り出せば、安全を確認する方法が見えてきます。
目的地に着けば、降車の際に車内で必ず発生する“品質が見える会話”が聞こえてきます。
「○○○○円です」「○○○○円をお預かりします」
「領収書はご入り用ですか」「かしこまりました」
「お忘れ物はございませんか」「足元などお気をつけくださいませ」
ドライバーの対応が「あ、良かったな」と思えば会社名を見ます。
「うーん、良くなかったな」と思えば会社名も見たくありません。
「ありがとうございました」と車内から笑顔で見送ってくれるドライバーには、こちらも「ありがとうございました」とお返しします。
わざわざ降車してドアを開けてくれるドライバーには「恐れ入ります」と一礼します。
その反面、「ありがとうござ・・・バタン」と挨拶の途中でドアを閉めて走り出すドライバーに、がっかりすることも。
先日、ある駅からタクシーに乗車した時の出来事。
走り出してもダッシュボードに後付けされたテレビが映りっ放し。
シートベルトも装着しない。
挙げ句の果てには「お帰りのタクシーはいかがですか?」
もちろん私からの回答は「いりません」の一言のみ。
さて、運送会社のドライバーは退出時にどのような「会話」をしているのでしょうか?
運送会社ではドライバーに退出時の会話について、どのような「教育」をしているのでしょうか?
退出時の印象は時に入場時の印象を勝り、次の仕事に影響を与える場合もあります。
私たちは研修等で「またよろしくお願いします」の言葉を発することを提案しています。
積み込み先(荷主様)では「運送のご依頼時には次回も当社をよろしくお願いします」との気持ちで発すること。
配送先(荷主様のお客様)では「商品のご発注時には次回も当社の荷主様をよろしくお願いします」との気持ちで発する。
荷主様のお客様である配送先様が、次回もその荷主様に商品を発注されることに付随して、今まで通りにその運送会社に仕事が発生します。
配送先様が他のメーカーへ発注すれば、運送業務はそのメーカーと取引している運送会社に移行されて、仕事がなくなります。
「終わりよければすべて良し」
「終わりよければ品質も良し」
ドライバーだけではなく配車担当者の電話でも「終わりよければ品質も良し」
それは電話の出方だけでなく切り方にもこだわること。
電話を切る際には「ありがとうございました」「またよろしくお願います」の一言を添える。
どちらから電話を掛けたのかは問わず、相手よりも受話器を先に置かないこと。
きっと今日の仕事へのこだわりが、明日の仕事の量や将来の仕事の単価につながります。
ありがとうございました。
次回は9月19日(金)更新の予定です。
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