第35回 社員と社員の家族が喜ぶ福利厚生活動

特に工場など多くの人が働く職場では、「消防訓練」や「避難訓練」を実施されています。

実施理由は言うまでもなく、大切な社員の体と命を守るため。

そして、大切な社員の体や命が損なわれる要因のひとつが交通事故。

起こりうる被害の大きさはさて置き、年間の発生件数や以後に予測される発生件数は「火事」と「交通事故」ではどちらが多いでしょうか?

職場で起こる火事は、敷地内での原因により発生することが多い。

だから敷地内には、年に1回でも訓練を受けた人が働いています。

交通事故は道の上で発生します。

年に1回も訓練を受けていない人が多い道の上で・・・。

人生で1回だけ、数年前の運転免許証取得時に自動車教習所で訓練を受けた人が多い道の上で・・・。

周囲が安全な状態で、自分も安全であれば事故にはならないものです。

普段はできている考え方や確認行動が「焦り・疲れ・イライラ」によりできなくなった時、周囲に危険が潜んでいれば事故になってしまいます。

もしくは周囲が危険な状況でも、自分が安全ならば事故にはなりにくい。

そこで、職場での「消防訓練」や「避難訓練」と同様に、「安全運転訓練」を実施されてはいかがでしょうか?

訓練方法は大きく分けてふたつのタイプ。

・年に1度のイベント型

・毎日1分以内の定量型

年に1度の交通安全講習会などで、開始前によく耳にする言葉。

「交通事故を起こした人は前の席に座りなさい!」

その場合、講習会が始まると熱心に聴いているのは前列の人。

後列の人は「事故を起こしていない」との自負なのか油断からなのか、前列の人より聴く姿勢が“後ろのめり”な人が多い。

そのような人は、たまたま事故をしていないだけかもしれません。

同様に添乗指導を受けることを嫌がる人には、共通点があります。

添乗指導を自ら希望される人は、安全な人ばかりです。

何も起こっていない時に実施するのが訓練です。

何も起こっていない時に実施するからこそ効果があるのです。

事故が起こってから実施しても、その意味は薄れてしまいます。

さらには業務中だけでなく、休日にもマイカーを運転される人もいます。

休日にはマイカーに家族を乗せて運転されることも多いでしょう。

職場で学んだ安全運転の考え方と安全確認の技術は、社員の家族も守ります。

定年退職までの年数と、高齢等により運転免許証を返納されるまでの年数は、どちらが長いでしょうか?

社員の家族や社員の人生も守る安全運転訓練とは、まさに「最大の福利厚生」です。

年次で開催される消防訓練と同じく、年に一度は安全運転訓練を実施しましょう。

その機会が、さらに効果が見込まれる毎日1分以内の定量型指導への発展に繋がります。

最後に。

交通事故の発生は、大切な社員を被害者にするだけでなく、加害者(犯罪者)にする可能性もあることを記して、今回のコラムを終わります。

ありがとうございました。

次回は10月17日(金)更新の予定です。

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この記事の著者

株式会社プロデキューブ 代表取締役

高柳 勝二

運送会社の管理者育成と安全教育をサポートしている株式会社プロデキューブの代表取締役。
前職は中堅運送会社にドライバーとして入社し18年間勤務。
安全管理・品質管理・開発営業などの実務経験が豊富な物流インストラクター。
現在ではドライバーの交通事故防止による利益確保と輸送品質の向上による単価の向上で得た原資によって、働き方改革を実現するまでを事業領域として、現場を親身にサポートしている。
中小運送会社からの依頼が多い“提案型”研修は、受講されたドライバーや管理者からの「おもしろい・眠くならない・わかりやすい」との評判が口コミで広がり、各社内で開催される社員研修の外部講師として全国45都道府県で講演。
また、全日本トラック協会主催の「全国トラック運送事業者大会」における交通安全対策推進の分科会で、7年連続コーディネータを担当(2013年札幌開催:2014年福岡開催:2015年金沢開催:2016年度米子開催:2017年仙台開催:2018年高松開催:2019年千葉開催)。
2013年度:全日本トラック協会「トラック運送事業における運行管理者のあり方研究会」委員
2015年度:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会ワーキンググループ」委員
2016年度:「貸切バス運転者に対して行う指導及び監督の改正検討ワーキンググループ」委員
2016年度より現在:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会」委員
2017年度より現在:熊本県トラック協会 専門アドバイザー(企業経営・労務管理)
各都道府県のトラック協会や青年部会、支部や協同組合単位での各研修会で講演多数。
プロデキューブ
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