第20回 運送会社の品格

大阪で私鉄電車に乗車した時のこと。

甲子園出場の常連校である高校球児の団体に遭遇。

校名入りの大きなバッグを携えて、大勢の乗客の中でも一際目立つ存在。

残念ながらお行儀がよろしくない・・・。

わざわざ注意はしませんが、大阪代表として甲子園に出場しても応援する気にはならないでしょう。

その反面、地域のボランティア活動に精を出したり、睡眠時間を割いてまで勉学にも励んでいる球児には、地区予選で負けたとしても心から拍手を送りたいと思います。

甲子園という国民的関心時に出場すれば、スターとして注目される彼ら。

大舞台以外の日頃からの姿勢も見られていることを、誰かが教えるべきではないでしょうか。

“勘違い”が長く続けば、人格が高まることの阻害要因にもなりかねません。

出張時、私はいつも新幹線に乗車しています。

「長い運行区間において、ほぼ定刻通りの運行を保つのは大変だろう」と感心し感動し感謝するのは、悪天候等で新幹線のダイヤが大幅に乱れた時。

日頃は「新幹線は定刻通りに出発し到着するもの」として、疑うことなくホームに立っている自分がいます。

目的駅到着後のスケジュールがタイトな場合は、少しでも遅れるものなら腹を立てる自分がいます。

恥ずかしながら身勝手な自分です。

先月、国民的関心事としてこんなニュースが採り上げられていました。

「商品が到着しないから店頭の商品が品切れ状態に」

2月の週末ごとに列島を襲った記録的な積雪が原因。

通行止めや渋滞により貨物を積載したトラックが目的地に進まず、日配商品を中心に店頭から商品が消えていく・・・。

何日もトラックが同じ場所に留まっている映像が流れていました。

周囲からすれば日頃は“簡単”とも思われがちな運送という仕事に、命と時間とプライドを賭けてトラックドライバーが目的地を目指している。

「あのトラックには一人以上のトラックドライバーが乗っている」

お客様との約束を守るために・・・。

皮肉なもので、運送会社は悪天候等の有事発生時には消費者(配送先様)から注目され感謝されます。

そして年度末の3月になりました。

増税前特需と引っ越しシーズンが重なり、史上最高と見込まれる繁忙期が迫っています。

このような繁忙期には、運送会社は生産者(荷主様)から注目され評価されます。

有事発生時や繁忙期以外の状況でも、日頃から運送会社が良い意味で注目されるように。

「そのために運送会社が日頃から何をすべきか?」

「世間(行政・顧客・地域)から運送会社に求められている品格とは?」

そう考えれば、各社内でもすぐに取り組めることがきっと見つかります。

ありがとうございました。

次回は3月24日(月)更新の予定です。

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この記事の著者

株式会社プロデキューブ 代表取締役

高柳 勝二

運送会社の管理者育成と安全教育をサポートしている株式会社プロデキューブの代表取締役。
前職は中堅運送会社にドライバーとして入社し18年間勤務。
安全管理・品質管理・開発営業などの実務経験が豊富な物流インストラクター。
現在ではドライバーの交通事故防止による利益確保と輸送品質の向上による単価の向上で得た原資によって、働き方改革を実現するまでを事業領域として、現場を親身にサポートしている。
中小運送会社からの依頼が多い“提案型”研修は、受講されたドライバーや管理者からの「おもしろい・眠くならない・わかりやすい」との評判が口コミで広がり、各社内で開催される社員研修の外部講師として全国45都道府県で講演。
また、全日本トラック協会主催の「全国トラック運送事業者大会」における交通安全対策推進の分科会で、7年連続コーディネータを担当(2013年札幌開催:2014年福岡開催:2015年金沢開催:2016年度米子開催:2017年仙台開催:2018年高松開催:2019年千葉開催)。
2013年度:全日本トラック協会「トラック運送事業における運行管理者のあり方研究会」委員
2015年度:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会ワーキンググループ」委員
2016年度:「貸切バス運転者に対して行う指導及び監督の改正検討ワーキンググループ」委員
2016年度より現在:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会」委員
2017年度より現在:熊本県トラック協会 専門アドバイザー(企業経営・労務管理)
各都道府県のトラック協会や青年部会、支部や協同組合単位での各研修会で講演多数。
プロデキューブ
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