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第47回 ドライバーの四つの願い
社内ルール作成の第一歩は「社員全員でどこを目指すのか?」を明確にすること。
目指す姿により、社内ルールの難易度を変える(合わせる)ことが、導入段階で多くの人を巻き込める秘訣です。
たとえば、一年の間に交通事故を起こさないための社内ルールと、一生の間に交通事故に遭わないための社内ルールは違います。
ドライバーの願いを叶えるための手段が社内ルールの機能です。
それは、高校野球に置き換えれば。
「県内でベスト8に入るための練習プログラム」と「県予選をダントツで勝ち抜いて、甲子園で優勝するための練習プログラム」とは違うのと同じこと。
いくら練習プログラムを決めても、ただやるだけでは効果が減少します。
高校野球における素振りの練習しかり。
相手投手が投げ込んでくる1球ごとの球筋をイメージしながらバットを振ることと、ただ言われた回数だけバットを振ることの違い。
それは、バック走行をする際に、後方の危険を予測して下車確認をすることと、やらなければ叱られるから下車確認をしていることほどの違い。
誰もが本気で取り組めば、必ず結果は高まることを信じてやみません。
高校球児が、試合で相手チームに勝つことを目指すように。
ドライバーの場合は、他の運送会社のドライバーに、安全(給料の多さ)や品質(時間の短さ)で勝つことを願っている人もいます。
勝ちたいと思うドライバーに、勝たせるプログラム(社内ルール)を提供することで、やる気と実力を発揮されています。
バック事故の防止について、確認の方法までは定めていない道路交通法だけでは、バック事故はゼロにはできないことと同じく。
就業規則だけでは、挨拶や身だしなみや整理整頓は向上できません。
安全においては、個々の常識を行動で実践するための社内ルールを。
品質においては、相手の常識を行動で上回るための社内ルールを。
安全はドライバーが不幸にならないために。
品質はドライバーが幸せになるために。
実現するためには面倒な努力が必要です。
面倒な努力を横着せずに、丁寧に続けること。
いつしか習慣になり、面倒に思わなくなるまで。
だれひとり不幸にならず、全員が幸せになるために実践する面倒な努力。
それが社内ルールです。
まずは、ドライバーと四つの願い【安全・給料・時間・定着】への意思を確認するミーティングからお始めください。
ドライバーの四つの願いは、言うまでもなく会社にとっても目指している項目と一致します。
全社員の思いが一致していることを確認できれば、今まで以上に建設的な議論ができるはずです。
次に、四つの願いを叶えるための社内ルールを検討してください。
「面倒なことを当たり前に思えるまで継続する」ためのルールです。
最後に。
他社よりも細かく社内ルールを作成するのは、ドライバーへの愛情の強さです。
他社よりも厳しく社内ルールを指導するのは、ドライバーへの愛情の深さです。
「できるはず!」とドライバーに期待をすることは、ドライバーへの愛情の第一歩です。
ありがとうございました。
次回は5月15日(金)を予定しております。
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