第48回 比較の力

お茶やコーヒーなど、いつも飲んでいるものでも、それぞれの味の違いがわかりにくい私。

そんな“違いのわからない男”の私でも、同時に二つのお茶や二つのコーヒーを飲み比べれば、違いに気づけます。

「○○の理由でこちらが好み」と、容易に断定できるはずです。

当社のドライバー研修資料では「A社とB社」や「AドライバーとBドライバー」との比較のシーンがたびたび登場します。

たとえばドライバーの写真を2枚ならべます。

「どちらのドライバーの身だしなみがお客様から選ばれますか?」と、2枚の写真の中から受講者様に選んでいただきます。

続いて「皆様はどちらのドライバーに近いですか?」と質問。

続いて、写真の中のドライバーとご自身とを比較してもらうことを繰り返します。

もしくは「どちらの姿になりたいですか?」と質問をして、「こちらになりたい!」と仰っていただいた姿になるための手法を提案し、そのプロセスをサポートしていますが、いつも「比較の力」を実感しています。

「比較することで改善箇所を自発的に発見していただけます」

「比較することで指導方針を自主的に納得していただけます」

私たちの仕事は「皆様が選んだ姿になって選ばれることをサポートする」だけの、とてもシンプルな内容なのです。

皆様がいつか「ありたい姿」になるために、今の「あるべき姿」をご提案しています。

また、運送会社の社内では、他のドライバーと比較した結果で評価が生まれています。

他社や他者と比較をする前に、“昨日の自分と比較”をしてみましょう。

安全ではデジタルタコグラフの数値しかり。

環境ではエコドライブの数値しかり。

ただし、品質の加点評価は“数値では表れない”のが奥の深いところ。

見えない評価基準に挑戦しつづけるには、相応の気概が必要です。

では品質において「良いドライバー」と評価されるために、何をすべきか。

状況によっては、私たちから「良い人になってください」とは言いません。

そのかわり「良いドライバーを演じてください」と強くお願いすることがあります。

昔、「良い子・悪い子・普通の子」を題材にしたバラエティ番組を見ていました。

今思えば、演じる俳優が“悪い子”なのではなく、“悪い子”を演じていたはずです。

同様に、現代の“悪いドライバー”と言われる人は、わざと“悪いドライバー”を演じているのかもしれません。

もしくは“良いドライバー”の演じ方を忘れているのか、教えてもらっていないのかもしれません。

たとえば“良いドライバー”を演じるための役作りにおけるポイント。

「態度(客先でのドアの開け方)は?」

「セリフ(あいさつ)は?」

「衣装(身だしなみ)は?」

ドライバーが演じる舞台は客先であったり、道の上であったり。

ドライバーはまるで俳優のよう。

見られている以上に“魅せる仕事を見せる”ことが仕事なのです。

管理者はまるで舞台監督のよう。

常に俳優と接して、本物以上に本物のような“演技”を求めます。

プロデキューブは脚本を担当して、台本を作成しているかのよう。

目標や計画とは、舞台監督と俳優と相談して決めた台本のようなものです。

そして、台本の通りに皆様がハッピーエンドを迎えるために。

その「役作り」をお手伝いすることが、私たちの仕事です。

ありがとうございました。

次回は5月29日(金)を予定しております。

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この記事の著者

株式会社プロデキューブ 代表取締役

高柳 勝二

運送会社の管理者育成と安全教育をサポートしている株式会社プロデキューブの代表取締役。
前職は中堅運送会社にドライバーとして入社し18年間勤務。
安全管理・品質管理・開発営業などの実務経験が豊富な物流インストラクター。
現在ではドライバーの交通事故防止による利益確保と輸送品質の向上による単価の向上で得た原資によって、働き方改革を実現するまでを事業領域として、現場を親身にサポートしている。
中小運送会社からの依頼が多い“提案型”研修は、受講されたドライバーや管理者からの「おもしろい・眠くならない・わかりやすい」との評判が口コミで広がり、各社内で開催される社員研修の外部講師として全国45都道府県で講演。
また、全日本トラック協会主催の「全国トラック運送事業者大会」における交通安全対策推進の分科会で、7年連続コーディネータを担当(2013年札幌開催:2014年福岡開催:2015年金沢開催:2016年度米子開催:2017年仙台開催:2018年高松開催:2019年千葉開催)。
2013年度:全日本トラック協会「トラック運送事業における運行管理者のあり方研究会」委員
2015年度:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会ワーキンググループ」委員
2016年度:「貸切バス運転者に対して行う指導及び監督の改正検討ワーキンググループ」委員
2016年度より現在:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会」委員
2017年度より現在:熊本県トラック協会 専門アドバイザー(企業経営・労務管理)
各都道府県のトラック協会や青年部会、支部や協同組合単位での各研修会で講演多数。
プロデキューブ
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