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第18回 プロデキューブ版“ヒヤリハットの法則”
運送会社で終業点呼時に管理者がドライバーに確認している場面。
「○○さん、今日ヒヤリハットは有りましたか?」
素っ気なく「無しです」とだけ答えて、日報を出して退社を急ぐドライバー。
本当にヒヤリハット体験が無かったのだろうか・・・。
そもそもヒヤリハット体験は無いに越したことは無い。
しかし、ヒヤリハット的な状況をヒヤリハット体験と自覚していないことがあれば、それはそれは大きな問題。
そこで管理者からドライバーへの質問(確認)方法を変えることを勧めています。
たとえば・・・。
「今日はクラクションを鳴らされましたか?」
「今日はクラクションを使いましたか?」
このようにプロデキューブでは「ヒヤリハット=クラクション」と位置付けています。
「ヒヤリハットが起こらなければ軽微な交通事故はもちろん重大事故にも至りにくい」と説いているのは、かの有名な“ハインリッヒの法則”
私もその法則に理解と納得をしつつ、重大事故につながるヒヤリハットをも少なくする方法をずっと考えています。
「交通事故を未然に防止したい」と思いながら多くのドライバーと接してきた結論として、ある共通点が浮かびました。
それは、交通事故に遭わないドライバーの特長として、遅延・誤配・破損・紛失等の商品事故も起こしていないこと。
「交通事故を未然に防止したい」と思いながら多くの運送会社を訪問してきた結論として、ある共通点が浮かびました。
社内ルールが機能せずにダラダラしている運送会社は、ドライバーのエラーメッセージ(体調や心情の退化)に気づかず、ドライバーがうっかりミスを起こしやすいということ。
うっかりミスが多いドライバーは商品事故が多い。
商品事故が多いドライバーは、道の上でも内的要因によってヒヤリハットを体験することが多い。
だからヒヤリハット体験を少なくするために「うっかり」や「ダラダラ」を少なくすべきということを、セミナーや勉強会での講師対応時には下記の図を用いて説明しています。
管理者がドライバーのエラーメッセージに気づかず、ドライバーがヒヤリハットに気づかないような運転方法に慣れてしまうと、確認作業を含む安全の基本動作が横着になり、バンパーやミラーを擦るような軽微な事故はもちろんのこと、人生が変わってしまうような重大事故に遭う可能性が増してくる・・・。
ちなみに「軽微な事故」と「重大な事故」の選別はあまり好ましくないと考えています。
それは「たまたま人がいなかったから物損事故で済んだだけ」かもしれないから。
それは「たまたま相手が回避してくれたから死亡事故にならなかっただけ」かもしれないから。
最悪の状況を想定しながら、すべての事故防止に向けた再発防止対策に全力で対処すべきだと思います。
「軽微な事故と重大事故では防止するのはどちらが容易?」とも問うべき。
最後にヒヤリハット報告が多数挙がっている運送会社の共通点をふたつ。
ひとつ目は、言うまでもなく交通事故が少ないことや燃費が良いこと。
ふたつ目は、その状態を維持すべくコミュニケーション能力に長けた管理者の存在。
安全な運送会社には、親身になってドライバーの安全を考えて、ドライバーの些細な異常にも気づく目を持ち、未然に対処すべく注意や励ましを口うるさく発信や確認ができる管理者の姿がありました。
思いが強ければ関心のレベルが変わり、思いを実現するために視点や言動が変わる。
やはり「管理者の安全への思いがドライバーの運転行動に表れる」のは、間違いないようです。
だから交通事故防止にはドライバー研修よりも管理者勉強会を開催することで効果が出るのも納得できます。
ありがとうございました。
次回は2月21日(金)更新の予定です。
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